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RLB222970
太陽光と光電変換機能―異分野融合から生まれる次世代太陽電池―
販売価格(税込):
79,200
円
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Pt
■体裁:B5判、307ページ
■発刊:2016/1
■ISBNコード:978-4-7813-1137-1
■シーエムシー出版
★ 2009年度に始まった科学技術振興機構のさきがけ研究「太陽光と光電変換機能」の研究成果を集約!
★ 実用化を見据えた各種太陽電池の最新研究と、新しい材料・プロセス・デバイス・技術を解説!
★ 次世代を担う36名の研究者がつなぐ高効率太陽電池への懸け橋!
※本書(p.203の図2)カラー図は以下のURLからご参照ください。
http://www.cmcbooks.co.jp/user_data/colordata/T990_colordata.pdf
【監修】
早瀬修二
【著者】
早瀬修二 九州工業大学
荒木秀明 長岡工業高等専門学校
板垣奈穂 九州大学
大平圭介 北陸先端科学技術大学院大学
沓掛健太朗 東北大学
田中徹 佐賀大学
野瀬嘉太郎 京都大学
藤原航三 東北大学
綿打敏司 山梨大学
家裕隆 大阪大学
市川結 信州大学大学院
梅山有和 京都大学
大北英生 京都大学
尾坂格 理化学研究所
當摩哲也 金沢大学
但馬敬介 理化学研究所
東原知哉 山形大学
宮寺哲彦 産業技術総合研究所
村中厚哉 理化学研究所
柳田真利 物質・材料研究機構
若宮淳志 京都大学
浅岡定幸 京都工芸繊維大学
岡本晃一 九州大学
沈青 電気通信大学
橘泰宏 RMIT大学(オーストラリア)
藤沢潤一 群馬大学
片山哲郎 関西学院大学
小堀康博 神戸大学
佐伯昭紀 大阪大学
櫻井岳暁 筑波大学
吉田弘幸 千葉大学
久保若奈 理化学研究所
黒川康良 名古屋大学
江東林 北陸先端科学技術大学院大学
田部勢津久 京都大学
太野垣健 産業技術総合研究所
丸本一弘 筑波大学
【刊行にあたって】
2009年度に国(文科省)が設定した戦略目標“異分野融合による自然光エネルギー変換材料および基盤技術の創出”を受けて、科学技術振興機構(JST)が戦略的創造研究推進事業として3テーマを設定しました。その中の一つ、さきがけ事業 “太陽光と光電変換機能”領域では次世代太陽電池の提案につながる研究を対象とします。化学、物理、電子工学等の幅広い分野の研究者の参画により異分野融合を促進し、未来の太陽電池の実用化につながる新たな基盤技術の構築を目指しています。具体的には、色素増感系、有機薄膜系、量子ドット系高性能太陽電池の研究や、従来とは異なるアプローチによるシリコン系、化合物系太陽電池の研究を対象としています。同時に、まったく新しい原理に基づいた太陽電池の創出につながる界面制御技術、 薄膜・結晶成長、新材料開拓、新プロセス、新デバイス構造などの要素研究も対象とし、次世代太陽電池の創出という視点を重視し、理論研究から実用化に向けたプロセス研究にわたる広域な研究を行っています。研究総括、および太陽光発電分野で専門家である14名アドバイザーの指導のもと、36名の若い研究者が提案する研究テーマが採択され、3年計画、5年計画の研究がスタートしました。プロジェクトはまだ進行中ですが、多くの実績が排出されており、実用化を含めて多くの新聞発表、論文発表が行われてきました。また一年前にはこれまでの多種多様な太陽電池研究成果を世界が注目し始めた新型太陽電池“ペロブスカイト太陽電池”の研究開発に集結する成果結集型プロジェクトを開始しました。このような結集プロジェクトは個人型研究である“さきがけ”事業では異例であり、はじめての試みでしたが短時間で多くの成果を出すことができました。
これらの成果をまとめて出版できる機会を得たことは誠に喜ばしい限りです。本書を読んだ読者がこれらの研究をさらに発展させたり、また“さきがけ”研究者とのネットワーク作り、さらに大きな成果につながることを期待しています。
【目次】
第1章 無機系太陽電池の新展開
1 レアメタルフリー新型化合物系薄膜太陽電池の開発
1.1 はじめに
1.2 CTSとは
1.3 同時蒸着法を用いたCTS薄膜太陽電池の作製
1.3.1 同時蒸着法を用いたCTS薄膜の作製と太陽電池デバイス化
1.3.2 同時蒸着CTS薄膜のポストアニール処理についての検討
1.3.3 CTS薄膜の組成最適化による高効率化
1.4 まとめ
2 可視領域でバンドギャップチューニング可能な新材料ZIONの開発と太陽電池への応用
2.1 はじめに
2.2 新材料ZIONの作製
2.3 ZION膜の高品質エピタキシャル成長
2.3.1 サファイア基板上へのZnOテンプレートの作製
2.3.2 ZnOテンプレート上へのZIONエピタキシャル成長
2.4 ZIONの量子井戸型太陽電池への応用
2.5 おわりに
3 瞬間結晶化によるガラス基板上への多結晶Si薄膜形成
3.1 はじめに
3.2 ECによる横方向結晶化速度の導出
3.3 ECによる大粒径poly-Si膜形成
3.4 まとめ
4 機能性結晶粒界による超高品質シリコン結晶の実現
4.1 はじめに
4.2 モノライクSi:太陽電池用の新しい結晶成長法
4.3 モノライクSiの利点と太陽電池変換効率
4.4 モノライクSiの課題
4.5 機能性結晶粒界による多結晶化の抑制
4.6 まとめ
5 高不整合材料による中間バンド型太陽電池の創製
5.1 はじめに
5.2 高不整合材料ZnTeO薄膜の成長と基礎物性
5.3 ZnTeO中間バンド型太陽電池における動作原理の実証
5.4 おわりに
6 カルコパイライト型リン化物のバルク・薄膜結晶成長と太陽電池への展開
6.1 はじめに
6.2 カルコパイライト型リン化物半導体ZnSnP2
6.3 状態図(相図)を基にしたバルク結晶の作製と物性評価
6.4 熱力学を利用した成膜技術の開発
6.5 まとめと高効率化への展望
7 キャスト法におけるSi多結晶インゴットの組織制御
7.1 はじめに
7.2 キャスト法によるSi多結晶インゴットの一方向成長
7.3 核形成-成長過程
7.3.1 結晶粒の成長形
7.3.2 ルツボ底面における結晶粒の配向性
7.3.3 デンドライト成長によるルツボ底面における結晶粒の粗大化
7.3.4 結晶粒同士の衝突による結晶粒界の形成
7.3.5 ルツボとSi融液(Si結晶)の反応の抑制
7.4 一方向成長過程
7.4.1 平坦な固液界面の不安定化
7.4.2 粒界グルーブの形成
7.4.3 競争的粒成長
7.5 おわりに
8 赤外線集中加熱法の工夫によるシリコン単結晶の大口径化
8.1 はじめに
8.2 赤外線集中加熱浮遊帯溶融(IR-FZ)法の概要とその問題点
8.3 赤外線集中加熱法の見直し点
8.4 育成結晶形状に対する回転楕円鏡の水平移動効果と傾斜効果
8.5 固液界面形状に対する回転楕円鏡の水平移動効果と傾斜効果
8.6 まとめ
第2章 有機系太陽電池の新展開
1 有機薄膜系太陽電池に応用可能な新規n型半導体材料の開発
1.1 はじめに
1.2 新規な電子受容性ユニットを導入したn型半導体材料の開発
1.3 3次元構造を特徴とするn型π電子系の開発とOPVへの応用
1.4 BHJ薄膜内での混和性を考慮したn型OPV材料の開発
1.5 おわりに
2 層間励起移動を用いた光捕集系を有する広帯域有機薄膜太陽電池
2.1 はじめに
2.2 励起エネルギー移動と研究コンセプト
2.3 p型有機半導体材料を積層したデバイスでのコンセプト実証
2.4 n型半導体層の多層化
2.5 まとめ
3 高効率化に向けた有機薄膜太陽電池用の長波長光吸収層材料の開発
3.1 有機薄膜太陽電池と低バンドギャップ共役系高分子
3.2 キノイド型共役系高分子
3.2.1 キノイド型ホモポリマー
3.2.2 キノイド構造誘起ユニットを含む交互共重合体
3.2.3 キノイド構造ユニットを含む交互共重合体
3.3 色素ユニットを含む共役系高分子
3.3.1 色素ユニットを主鎖に含む共役系高分子
3.3.2 色素ユニットを側鎖に含む共役系高分子
3.4 おわりに
4 高分子太陽電池の新発電原理の分子論的探求
4.1 はじめに
4.2 太陽光の光捕集
4.3 三元ブレンドによる近赤外域の光捕集
4.4 増感機構
4.5 色素の界面偏在機構
4.6 さらなる高効率化を目指して
4.7 おわりに
5 高効率有機薄膜太陽電池を目指した新規半導体ポリマーの開発
5.1 はじめに
5.2 半導体ポリマーの結晶性向上
5.3 半導体ポリマーの配向制御
5.4 分子配向と素子構造のマッチング
5.5 まとめ
6 結晶性や分子配向を制御した低分子系有機薄膜太陽電池の研究開発
6.1 はじめに
6.2 分子配向の同定
6.3 ナノロッドテンプレートによる配向制御とナノ構造制御
6.4 有機半導体多重積層による高性能化
6.5 まとめ
7 光電変換過程の高効率化を目指した有機界面の精密制御
7.1 はじめに
7.2 モデルとしての二層型太陽電池構造
7.3 今後の展望
8 半導体ブロック共重合体の開発と有機薄膜太陽電池のナノ構造制御
8.1 はじめに
8.2 半導体ブロック共重合体の開発
8.3 半導体ブロック共重合体のブレンド膜相溶化効果
8.4 半導体ブロック共重合体の自己組織化利用法
8.5 おわりに
9 ヘテロエピタキシーによる有機系太陽電池の結晶制御
9.1 はじめに
9.2 有機薄膜太陽電池
9.2.1 有機ヘテロエピタキシー
9.2.2 共蒸着構造制御
9.3 有機鉛ペロブスカイト太陽電池
9.3.1 有機鉛ペロブスカイト共蒸着
9.3.2 有機鉛ペロブスカイト製膜過程(溶液法)のリアルタイム観察
9.4 おわりに
10 フタロシアニン系近赤外線吸収材料の設計と合成
10.1 はじめに
10.2 アズレン縮合型フタロシアニン誘導体
10.3 芳香族性ヘミポルフィラジン
10.4 拡張型フタロシアニン
10.5 おわりに
11 色素増感太陽電池のレドックス種の拡散挙動解明
11.1 色素増感太陽電池(DSC)
11.2 電解質の輸送特性
11.2.1 輸送モデル
11.2.2 I3-の初期濃度
11.2.3 I3-の拡散係数
11.2.4 TiO2多孔膜の厚み
11.2.5 電解液のバルク層
11.3 今後の展開
12 準平面構造を鍵骨格に用いた有機半導体材料の開発
12.1 はじめに
12.2 有機半導体材料:分子設計のヒント
12.3 「分子の形にこだわる」:準平面型の骨格を用いた有機半導体材料
12.4 モデル化合物の合成と基礎特性
12.5 構造特性
12.6 固体中での構造特性と電荷輸送特性の相間
12.7 ペロブスカイト太陽電池への展開
12.8 おわりに
第3章 新規素子開発
1 光捕集アンテナ構造を組み込んだ光合成型光電変換デバイスの創製
1.1 はじめに
1.2 両親媒性液晶ブロック共重合体の高配向性ミクロ相分離構造
1.3 相分離界面を利用した色素分子の環状集積化による光捕集アンテナ構造の再現
1.4 ポルフィリン環状集積化薄膜の光電変換特性の評価
1.5 ドメイン選択的修飾による電荷輸送経路の導入
1.6 まとめと展望
2 プラズモニクスを利用した高効率・超薄膜太陽電池
2.1 はじめに
2.2 表面プラズモン共鳴による光捕集効果
2.3 これまで報告されてきたプラズモニック太陽電池
2.4 金属ナノグレイン構造の利用
2.5 金属ナノ微粒子シート構造の利用
2.6 おわりに
3 半導体量子ドットの多重励起子生成と太陽電池への応用
3.1 はじめに
3.2 PbS量子ドットにおける光励起キャリアとMEG発現・緩和のダイナミクス
3.3 量子ドット増感TiO2電極の光電変換機能の向上に関わる因子の解明
3.3.1 量子ドットの表面修飾効果
3.3.2 TiO2光電極のナノ構造依存性
3.3.3 量子ドット複合化の効果
3.4 おわりに
4 新規半導体量子ドットの合成と増感型太陽電池への応用
4.1 はじめに
4.2 新規半導体量子ドットの合成
4.2.1 硫化カドミウム(CdS)量子ドットの新規非注入型合成法の確立
4.2.2 硫化銅・アンチモン三元系量子ドットの合成
4.3 半導体量子ドット・酸化チタン間の光誘起電荷移動反応
4.4 おわりに
5 界面電荷移動遷移により動作する太陽電池:エネルギー損失を伴わない電荷分離機構
5.1 はじめに
5.2 界面電荷移動遷移のための材料設計指針
5.3 ナノワイヤペロブスカイト
5.4 酸化チタン-電子アクセプター複合物質
5.5 界面電荷移動遷移の発現機構
5.6 TiO2-アントラセン複合体における高効率光電流変換
5.7 マーカス理論に基づく電荷再結合の解析
5.8 高効率光電変換のための指針
5.9 今後の課題
5.10 おわりに
第4章 新しい計測手法の構築
1 波長可変な顕微過渡吸収分光を用いた光電変換系における電荷捕捉サイトおよび光退色過程の解明
1.1 はじめに
1.2 顕微過渡吸収測定法
1.3 P3HT/PCBM有機薄膜系への応用
1.4 有機無機ペロブスカイト型太陽電池への応用
1.5 おわりに
2 電子スピンコヒーレンスによる有機太陽電池基板の電子伝達機能の解明
2.1 はじめに
2.2 時間分解電子スピン共鳴法による測定
2.3 有機薄膜太陽電池のバルクへテロ接合界面における光電荷解離機構
2.4 バルクへテロ接合界面に生成した長距離電子-正孔対の電子状態
2.5 バルクへテロ接合界面と光合成反応中心における初期電荷分離状態の電子状態の相違
2.6 おわりに
3 マイクロ波を用いたデバイスレス有機太陽電池評価法
3.1 はじめに
3.2 単色光励起マイクロ波法によるP3HT:PCBM薄膜評価
3.3 白色光パルス励起マイクロ波法の開発
3.4 新規高分子材料設計への展開
3.5 おわりに
4 放射光を利用した有機薄膜太陽電池の物性評価
4.1 はじめに
4.2 軟X線吸収分光法
4.2.1 NEXAFS(Near Edge X-ray Absorption Fine Structure)
4.2.2 STXM(Scanning Transmission X-ray Microscopy)
4.3 有機薄膜太陽電池への軟X線吸収分光の応用
4.3.1 有機/金属界面の吸着状態解析
4.3.2 高分子バルクヘテロ構造太陽電池の内部混合状態解析
4.4 まとめ
5 新しいLUMO準位測定法の開発と有機太陽電池研究への展開
5.1 はじめに
5.2 低エネルギー逆光電子分光法
5.3 他の電子親和力を求める方法との比較
5.4 有機-金属界面での電子輸送準位
5.5 固体効果と分極エネルギー
5.5.1 PCBMの結晶化に伴う電子分極エネルギーの増加
5.5.2 ペンタセンとフッ素置換ペンタセンの薄膜のイオン化エネルギーと電子親和力の分子配向依存性
5.6 まとめ
第5章 新技術開発
1 金ナノドット格子構造と金ナノ粒子のプラズモン共鳴を利用した有機薄膜太陽電池
1.1 はじめに
1.2 金ナノドット格子構造を埋没した有機薄膜太陽電池
1.3 金ナノ粒子を埋没した有機薄膜太陽電池
1.4 プラズモニック太陽電池の設計指針について
2 量子ナノ構造を利用した新型高効率シリコン系太陽電池の開発 (黒川康良)
2.1 太陽電池材料としてのナノワイヤ構造
2.2 シミュレーションによるSiNW太陽電池構造の設計
2.3 SiNWアレイの作製と粒径・密度制御
2.4 SiNWアレイへのパッシベーション膜の作製方法
2.5 SiNWアレイの細線化
2.6 SiNW太陽電池の作製
2.7 まとめ
3 2次元高分子を用いた光エネルギー変換材料の創製
3.1 はじめに
3.2 2次元高分子の分子設計と合成戦略
3.3 2次元高分子の構造特徴
3.4 光・電子機能性2次元高分子の設計と機能
3.5 2次元高分子を用いた光電変換システムの構築と機能
3.6 結語
4 量子切断・波長変換材料
4.1 はじめに
4.2 量子切断現象
4.3 Pr-Yb系の量子切断機構
4.4 透明化への挑戦
4.5 おわりに
5 中間バンド型量子ドット太陽電池の開発
5.1 はじめに
5.2 マルチバンド型太陽電池
5.3 中間バンド型量子ドット太陽電池
5.4 電荷分離型量子ドット太陽電池
5.5 おわりに
6 有機薄膜太陽電池の劣化機構のミクロ解明と耐久性向上
6.1 はじめに
6.2 素子作製と特性
6.3 素子動作時の光誘起ESR信号
6.4 電荷蓄積と素子特性劣化との相関
6.5 電荷蓄積の形成とエネルギー準位
6.6 電荷蓄積による素子性能の劣化機構
6.7 おわりに