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RLB222928
酵素応用の技術と市場2015
販売価格(税込):
82,500
円
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■体裁:B5判、278ページ
■発刊:2015/5
■ISBNコード:978-4-7813-1069-5
■シーエムシー出版
★ 新規酵素の発見、タンパク質工学による改質など発展する酵素技術
★ デンプン加工、醸造、油脂、洗剤、化粧品、バイオマス変換などの産業用酵素の動向
★ 医薬品原体、中間体生産、アミノ酸合成、診断用酵素、消化酵素、ダイエットサプリメントなど医療用、診断用、健康用酵素の動向
★ 酵素および酵素応用製品さらに酵素応用分野の市場を解説
【監修】
井上國世
【著者】
井上國世 京都大学名誉教授
白坂直輝 ナガセケムテックス(株)
秦洋二 月桂冠(株)
木田晴康 不二製油(株)
奥田光美 花王(株)
伊澤直樹 (株)ヤクルト本社
野﨑博之 味の素(株)
安枝寿 味の素(株)
藤井匡 日本マイクロバイオファーマ(株)
新谷晃司 東ソー(株)
黒田学 天野エンザイム(株)
杉浦純 王子ホールディングス(株)
シーエムシー出版 編集部
【刊行にあたって】
「酵素応用の技術と市場2009」が発行されて6年が経った。本書はこれの後継版である。産業酵素を中心に医薬領域や研究で用いられる酵素について、技術と市場の両面から解説している。2008年の世界の酵素市場は4,000億円であり、そのうち、わが国の市場は産業用と医薬・研究用のそれぞれ240億円および170億円の合計410億円であった。その後の市場は、依拠するデータによりバラつきが見られるが、世界もわが国も少しずつ増加している。
食品添加物としての酵素の収載数は増加しているし、バイオマス変換や飼料、洗剤などに用いられる大型の酵素市場は成長しているので、酵素の市場に大きい成長がみられない原因については慎重な解析が必要だろう。製造拠点が新興国に移行しているためかもしれないし、バイオ産業が酵素を道具とする形態から遺伝子や細胞を道具とする形態に転換しているためかもしれない。あるいは産業酵素の研究・開発を担う国が先進国から新興国へ移っているのかもしれない。
産業酵素の調製や性質の解析などに関する学術論文が、この10年間のうちに、いわゆる新興国からたくさん報告されるようになっている。酵素の研究にグローバル化と平準化が起こっている。多様で正確な科学に裏打ちされた技術をもってユニークでインパクトのある領域への酵素利用が望まれる。一方で、酵素利用やバイオ技術の応用は、国や地域における食生活などの生活様式や文化のあり様、あるいは法令や規制とも無縁でないことも事実である。極めて私的で的外れなことを述べることを許していただきたい。数年前にクロスカップリング(CC)反応のノーベル賞が話題になったとき、改めてこの技術の偉大さを実感した。同時に、私たちの細胞で日々働いてくれているアルドラーゼ類や各種シンターゼ類には、CC触媒に及ぶだけの才覚が無いらしいことも思い知った。しかし、私たちの細胞で日々働いているのはこれらの酵素であり、CC触媒が働いているわけではない。才覚が無いのは、実は私たちであろう。
こんなに知的な酵素に産業利用の場で活躍してもらうためにはどうしたらよいかをもっと工夫する必要がある。いまやグリーンイノベーション(エネルギー、環境)とライフイノベーション(健康、長寿、再生医療)は国是と言ってもよい研究開発の潮流である。酵素はすでに大きな働きをしているが、なお一層の活躍が期待できる場が調っている。
本書では、産業酵素の利用に関して最新の話題を、第一線でご活躍の専門家の先生方にご執筆いただいた。本書が、酵素の産業利用に関心を持つ研究者、技術者の皆様にとり、研究開発の一助となれば幸いである。最後に、ご多忙中、快くご執筆いただいた著者の皆様に感謝申し上げる。
井上國世
(本書「はしがき」より)
【目次】
【技術編】
第1章 総論 酵素応用の技術
1 酵素研究の歴史
1.1 酵素の認識は、醗酵と食物の消化から始まる
1.2 ラボアジエ(Lavoisier)による醗酵の化学的認識
1.3 胃における消化の観察
1.4 Fermentは何か?
1.5 酵素応用の機運
1.6 醗酵の触媒説と微生物説の論争
1.7 酵母の無細胞抽出液
1.8 Fermentの実体
1.9 酵素化学における基質特異性と反応機構
1.10 酵素を用いる合成反応へ
1.11 吉田彦六郎とラッカーゼのこと
1.12 日本滞在時代のミカエリスのこと
2 酵素化学の現状認識
2.1 過去100年間の酵素化学
2.2 酵素を応用するということ
2.3 酵素の活性化と安定化
2.4 固体基質に対する酵素反応
2.5 固定化酵素
2.6 有機溶媒環境で働く酵素
2.7 酵素は小腸から血管に移行するのか?
2.8 タンパク質・ペプチド性医薬の問題点
3 酵素応用の現状と課題
3.1 世界のバイオ市場
3.2 酵素の応用
3.3 世界の酵素市場
3.4 わが国の酵素市場
3.5 産業酵素の利用分類
3.6 遺伝子組換え酵素
4 酵素応用の技術動向
4.1 食品関連酵素
4.1.1 食品添加物としての酵素
4.1.2 遺伝子組換え酵素添加物
4.1.3 レンネット
4.1.4 アクリルアミドとアスパラギナーゼ
4.2 食品関連酵素以外の酵素
5 今回、わが国の産業酵素において特記すべきこと
5.1 遠藤滋俊博士(大和化成)と好熱性酵素工業
5.2 産業酵素利用の拡大と生産体制のあり方と iPS細胞技術のインパクト
5.3 村尾澤夫先生のこと
6 おわりに
第2章 デンプン加工食品と酵素
1 はじめに
2 産業用酵素の市場
3 α‐アミラーゼ・グルコアミラーゼ
4 β‐アミラーゼ
5 グルコースイソメラーゼ
6 ブランチングエンザイム
7 おわりに
第3章 醸造食品製造と酵素
1 はじめに
2 醸造食品と酵素
3 醸造食品への酵素の利用(1)―酵素の補強・補てん
4 醸造食品への酵素の利用(2)―新規酵素の利用
5 おわりに
第4章 油脂製品加工と酵素
1 はじめに
2 油脂製品加工技術
2.1 硬化(水素添加)
2.2 分別
2.3 エステル交換
3 リパーゼを用いた酵素エステル交換
4 酵素エステル交換と化学エステル交換の比較
4.1 リパーゼの選択
4.2 反応工程
4.3 反応装置
5 食用加工油脂への利用例
5.1 SUS型油脂(1、3飽和脂肪酸‐2不飽和脂肪酸型トリグリセリド)
5.2 OPO脂
5.3 ジアシルグリセロール
5.4 MLCT(中鎖・長鎖脂肪酸トリグリセリド)
5.5 高PUFA(高度不飽和脂肪酸)含有油脂
5.6 植物ステロールエステル
5.7 低トランス油脂
6 まとめと今後の展開
第5章 洗剤用酵素
1 洗剤の歴史
2 洗浄剤としての酵素
3 プロテアーゼ
4 セルラーゼ
5 おわりに
第6章 化粧品と酵素
1 はじめに
2 皮膚と乳酸菌産生物質
3 乳酸菌培養液
4 アロエ発酵エキス
5 大豆ビフィズス菌発酵液
6 ヒアルロン酸
7 おわりに
第7章 アミノ酸の合成・発酵生産と酵素
1 はじめに
2 α-メチル-L-セリンの酵素合成法
2.1 αメチルセリンヒドロキシメチル転移酵素のスクリーニングと性質
2.2 αメチルセリンアルドラーゼの発見
2.3 αメチルセリンアルドラーゼの酵素学的諸性質
2.4 α-メチル- L-セリンの酵素合成
3 L-グルタミン酸発酵と酵素
3.1 L-グルタミン酸発酵の概要
3.2 2-オキソグルタル酸脱水素酵素複合体の活性と構造
3.3 2-オキソグルタル酸脱水素酵素複合体の活性制御機構
3.4 L-グルタミン酸の生産効率を上げる酵素 -ホスホケトラーゼ(PKT)-
4 おわりに
第8章 医薬品原体・中間体生産と酵素~細菌由来シトクロムP450を利用した物質生産~
1 はじめに
2 第一世代P450ライブラリー
3 第二世代P450ライブラリー
4 第三世代P450ライブラリー
5 P450による化合物生産
6 P450技術を他酵素に展開した物質生産
7 おわりに
第9章 診断用酵素
1 はじめに
2 免疫検査
3 生化学検査
4 遺伝子関連検査
5 検査における課題
5.1 施設間差・試薬間差の問題(標準化)
5.2 非特異的な反応(測定値に影響する要因)
6 おわりに
第10章 医薬分野での酵素利用
1 はじめに
2 医薬分野での酵素利用の概観
3 日本国内での消化酵素製剤への利用
3.1 消化酵素の歴史
3.2 代表的な消化酵素原薬と製剤
3.3 酵素の生理機能への影響
3.3.1 リパーゼ
3.3.2 アミラーゼ
3.3.3 プロテアーゼ
3.3.4 セルラーゼ
4 米国でのダイエタリーサプリメントへの利用
4.1 ダイエタリーサプリメントとは
4.2 ダイエタリーサプリメントに利用されている酵素
4.2.1 酵素の種類
4.2.2 ラクターゼ
4.2.3 α-ガラクトシダーゼ
4.2.4 その他
5 おわりに
第11章 バイオマス変換と酵素
1 はじめに
2 バイオマスの組成
3 セルラーゼによるバイオマス変換
3.1 はじめに
3.2 セルロース酵素糖化の前処理
3.3 セルラーゼ
3.4 糖化酵素のコスト削減
3.5 酵素の利用時のコスト削減
4 セルロース以外の成分の変換
4.1 キシロース
4.2 リグニンの有効利用
5 今後に向けて
【市場編】
第12章 酵素市場
1 産業用酵素
1.1 酵素の分類と世界市場
1.2 産業用酵素市場
1.2.1 市場概況
1.2.2 分野別の市場動向
1.3 主要メーカー動向
1.4 市場の方向性
2 トランスグルタミナーゼ
3 カタラーゼ
4 SOD
5 リパーゼ
6 ペクチナーゼ
7 ラクターゼ
8 α‐グルコシダーゼ
9 α‐アミラーゼ
10 β‐アミラーゼ
11 グルコアミラーゼ
12 イソアミラーゼ
13 グルコースイソメラーゼ
14 セルラーゼ
15 ヘミセルラーゼ
16 アルカリプロテアーゼ
17 パパイン
18 キモシン(レンネット)
19 サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ
20 アスパラギナーゼ
第13章 酵素応用製品の市場
1 ジアシルグリセロール
2 リン酸化オリゴ糖カルシウム(ポスカ)
3 大豆ペプチド
4 ゴマペプチド
5 イワシ由来ペプチド
6 トレハロース
7 ルチン
8 グルカゴン
9 グルタチオン
10 L‐トリプトファン
11 5‐アミノレブリン酸
12 ポリ乳酸
13 カルタミン
14 加水分解シルク
15 コラーゲン
16 エリスリトール
17 ステビア甘味料
18 アラキドン酸
19 キシリトール
20 酵母エキス
第14章 酵素応用分野の市場
1 機能性食品素材の市場動向
1.1 概要
1.2 市場規模
1.2.1 機能性食品市場
1.2.2 トクホ市場
1.3 製品動向
1.3.1 コエンザイムQ10
1.3.2 L‐カルニチン
1.3.3 コラーゲン
1.4 企業動向
1.4.1 カネカ
1.4.2 日清ファルマ
1.4.3 ニッピ
1.4.4 新田ゼラチン
1.4.5 ゼライス
1.4.6 明治
1.4.7 味の素
2 プロバイオティクスの市場動向
2.1 概要
2.2 研究動向
2.2.1 整腸作用
2.2.2 発がんリスク低減作用
2.2.3 免疫能調節作用
2.2.4 アレルギー低減作用
2.2.5 血中コレステロール低減作用
2.2.6 血圧降下作用
2.2.7 ピロリ菌制御作用
2.3 市場規模
2.4 企業動向
2.4.1 明治
2.4.2 森永乳業
2.4.3 雪印メグミルク
2.4.4 ヤクルト本社
2.4.5 カゴメ
3 バイオプラスチックの市場動向
3.1 概要
3.2 種類
3.2.1 生分解性プラスチック
3.2.2 バイオマスプラスチック
3.3 用途
3.3.1 生分解性プラスチック製品
3.3.2 バイオマスプラスチック製品
3.4 市場動向
3.5 企業動向
3.5.1 三菱樹脂
3.5.2 昭和電工
3.5.3 ダイセル
3.5.4 東レ
3.5.5 ユニチカ
3.5.6 カネカ
3.5.7 三菱ガス化学
3.5.8 サカタインクス
3.5.9 三井化学
3.5.10 BASFジャパン
3.5.11 ネイチャーワークス社(米国)
3.5.12 テレス社(米国)
4 甘味料の市場動向
4.1 概要
4.2 主な製品の概要
4.2.1 トレハロース
4.2.2 キシリトール
4.2.3 アスパルテーム
4.3 市場動向
4.3.1 トレハロース
4.3.2 キシリトール
4.3.3 アスパルテーム
4.4 企業動向
4.4.1 味の素
4.4.2 明治
4.4.3 三井製糖
4.4.4 林原
4.4.5 三栄源エフ・エフ・アイ
4.4.6 DSP五協フード&ケミカル
4.4.7 Fiニュートリション
4.4.8 丸善製薬
5 天然調味料の市場動向
5.1 概要
5.2 分野別動向
5.2.1 畜産エキス
5.2.2 水産エキス
5.2.3 農産エキス
5.2.4 酵母エキス
5.2.5 酵素分解型調味料
5.2.6 魚醤・魚醤系調味料
5.3 企業動向
5.3.1 大日本明治精糖
5.3.2 宝酒造
5.3.3 味の素
5.3.4 焼津水産化学工業
5.3.5 マルハチ村松
5.3.6 日研フード
5.3.7 アサヒフードアンドヘルスケア
5.3.8 サッポロビール
5.3.9 MCフードスペシャリティーズ
5.3.10 テーブルマーク
5.3.11 その他のエキスメーカー
6 β‐グルカン素材の動向
6.1 概要
6.2 分野別動向
6.2.1 パン酵母由来β‐グルカン
6.2.2 黒酵母由来β‐グルカン
6.2.3 大麦由来β‐グルカン
6.3 企業動向
6.3.1 オリエンタル酵母
6.3.2 ADEKA
6.3.3 味の素
6.3.4 DSウェルフーズ
6.3.5 その他のβ-グルカンメーカー
7 アミノ酸の市場動向
7.1 概要
7.2 用途
7.2.1 機能性食品
7.2.2 調味料・甘味料
7.2.3 飼料
7.2.4 その他
7.3 市場規模
7.3.1 機能性食品
7.3.2 飼料
7.3.3 その他
7.4 価格
7.5 メーカー動向
7.5.1 味の素
7.5.2 協和発酵バイオ
7.5.3 エボニックジャパン
7.5.4 住友化学工業