商品コード: RLB100132

最新電子材料表面技術 第1編-磁性材料表面技術-

販売価格(税込): 13,200
ポイント: 0 Pt
■体裁:A4版253頁
■発刊:2000/07/28
■ISBNコード:4-89808-024-3

【執筆者】
高橋 義之/ 宇都宮大学/ 菅沼 克昭/ 大阪大学/
菅沼 克昭, 多田 盛/ 大阪大学, 千住金属工業/
多田 盛/ 千住金属工業/ 菅沼 克昭, 多田 盛/ 大阪大学, 千住金属工業/
田中 浩和, 吉原佐知雄/ 宇都宮大学, 宇都宮大学/
苅谷 義治, 大塚 正久/ 芝浦工業大学, 芝浦工業大学/
菅沼 克昭/ 大阪大学/ 谷口 芳邦/ ソニー/ 縄舟 秀美/ 甲南大学/
長谷川永悦, 多田 盛/ 千住金属工業, 千住金属工業/
中村 秀樹/ 千住金属工業/ 上谷 孝司/ 白光/
気賀 智也/ ソニー/ 河野 英一/ 日本電気/ 山岸 康男/ 富士通研究所/
関戸 達哉/ 日産自動車/ 森山 正人/ 本田技術研究所/
竹内 誠/ 日本ビクター/ 平野 正夫/ オムロン/那和 一成/ ノキア・ジャパン/
Ken Snowdon, C.G. Tanner/ Nortel Networks/ E. de Kluizenaar, P.Langeveld, N. van V Philips Electronics CFT/
須賀 唯知/ 東京大学/ 谷口 芳邦/ ソニー/ 菅沼 克昭/ 大阪大学

※所属、肩書き等は本書発刊当時のものです。

【序文】
Sn-Pb共晶はんだは、扱い易さ、諸特性、価格など、すべての面で実装ばかりでなく金属の実用的低温接合に最適の合金であった。
これが、ローマ時代の青銅器の接続から今日の最先端のエレクトロニクス実装までまったく同じ組成が生き続けてきた由縁である。
しかし、人類が鉛の使用を始めた同じ頃から、その毒性も報告され続けている。大量の廃棄物を生み出すようになった今日、エレクトロニクス機器に含まれる毒物の使用量は最小限にとどめるべきである。
これは、製品を享受する消費者側の強い願いであるが、造る製造者側のモラルでもあろう。我が国の電子・電気メーカは、苦しみながらもこれに応えようとしている。
技術者の誰もが「鉛フリー化」の難しさを認識している。中でも、鉛フリー化によって起こる温度上昇の問題とリフトオフの問題は深刻である。
もちろん、中には時期が早すぎるとの反対の声があることも事実である。だが、エレクトロニクス実装における鉛フリー化の動きは、その始まりが環境問題であったことを忘れないでほしい。毒性の元素を含む廃棄物が蓄積されてゆく現実は、いずれかの日にかは止めなければならない。これを我々の子孫に期待するのではなく、一刻も早い方が望ましいのである。
平成8年に、日本電子工業振興協会と回路実装学会(現エレクトロニクス実装学会)が共同で公表した「鉛フリーはんだロードマップ」は、この趣旨の下に現時点でできるところから始めるとの趣意であった。
幸いに多くのメーカの賛同を得て、今日の世界的な鉛フリー化への動きへとつながっている。
平成10年度より、「鉛フリーはんだの規格化に関わる開発研究」がNEDOの支援の下に遂行された。
また、EUのIDEALSプロジェクトの終了、米国のNEMIプロジェクトの開始、さらにEUでの電子機器の鉛をはじめとする有害元素使用規制(WEEE)の法制化が最終段階を迎えるなど、まさにこの1、2年は鉛フリーはんだ開発にとって大きな転換期を迎えている。
鉛フリーはんだは、いずれ標準化を目指した国際的なデータの共通化と意見交換が必要となるであろう。現在、実装技術に関しては、間違いなく日本が世界を先導している。今日の優れたエレクトロニクス機器の高い品質と高密度に集積されたパッケージングは、あくまでも日本のメーカの主導で発展してきた。しかし、その反面、実装技術の裾野である学問領域は大きく取り残されている。
鉛フリー化の研究開発は、環境問題を解決するとともに、産官学の多くの研究者を刺激して、この学問領域を一気に築こうとするものでもある。
これまでSn-Pb共晶はんだでさえ十分に理解されていなかった組織制御や寿命予測が、学問の支えを得て可能になろうとしている。
本書は、現在鉛フリーはんだ実装でどこまでが理解されているかを問い、また残された課題を明確にすることで、これに関わる産官学の研究者や技術者の一助となるように企画した。このために、国内をはじめ、欧州の主立った方々にも現状のご紹介にご協力を頂戴した。
新しい組成合金のデータベース構築、信頼性評価・寿命予測技術、ぬれ上がり-界面反応-凝固をトータルに解析するシミュレーション技術、あるいは欠陥の非破壊検出技術など、今後取り組まなければならない重要項目が山積している。
また、鉛フリーはんだ実装で生じる様々な現象のメカニズムなどでは異論もあり、これらに関してはさらに学会発表などを通して活発に議論が交わされることを期待したい。
最後になるが、本書をまとめるにあたりお忙しい中構成の段階からご協力いただいた編集委員の谷口氏と中村氏、さらに鉛フリーはんだ実装技術開発真っ直中のお忙しい中にご協力いただいた共同執筆者の方々には深甚の謝意を表したい。
また、我々の遅々として進まぬ執筆・校正作業に忍耐強くお付き合い頂いたリアライズ社の久末氏をはじめとするご関係諸氏には心からお礼申し上げたい。
本書が読者の皆様の鉛フリーはんだ実装の推進のための一助となれば、幸いと感じる次第である。

2000年7月
菅沼克昭 大阪大学

【目次】

第1章 鉛フリーはんだ付けの背景
1.1 はんだの鉛フリー化の背景
1.2 法規制の動向
1.3 鉛フリー化に必要なはんだ特性
1.4 各国の鉛フリーはんだ開発動向
1.はじめに
2.米国
2.1 NCMSプロジェクト
2.2 NEMI鉛フリーはんだプロジェクト
(NEMI Task Force on Lead-Free Solderin
g)
3.欧州のプロジェクト
3.1 IDEALSプロジェクト(BRITE/EURAM95/1994)
3.2 英国の調査研究
4.日本国内の研究プロジェクト
5.今後

第2章 鉛フリーはんだの基礎物性
1.Sn-Pb系はんだ
1.1 Sn-Pb系はんだの種類
1.2 Sn-Pb系はんだの組織
1.3 Sn-Pb系はんだの熱・機械的特性
1.4 低温はんだ
1.5 高温はんだ
1.6 高強度はんだ
2.鉛フリーはんだ
2.1 鉛フリーはんだの種類と特徴比較
2.2 各種鉛フリーはんだ

第3章 接続界面の特性と評価
3.1 ぬれ性
1.メニスコグラフによるSn-Pb系とSn-Ag-Cu系のぬれ時間の比較
2.鉛フリーはんだのスルホール基板によるフローアップ性
3.ぬれ広がり試験法
3.2 鉛フリーはんだ接続の界面組織
1.はじめに
2.鉛フリーはんだとCuとの界面反応
3.鉛フリーはんだとCuとの界面組織
4.Sn-Zn系はんだとCuとの界面組織
5.Fe, Niとの界面反応
6.理想的なはんだ接続界面組織
3.3 電気接続信頼性(マイグレーション, 絶縁, 評価方法)
1.はじめに
2.はんだ接合部の絶縁劣化とイオンマイグレーション
3.絶縁信頼性評価方法
4.QCM法による鉛フリーはんだの絶縁性評価事例
5.おわりに
3.4 接続界面強度と評価方法
1.はじめに
2.接合体の継手強度評価法
3.ラップシェアジョイントを用いた鉛フリーはんだ接合体の静的強度
4.QFPリード/はんだ接合部の強度
5.接続強度評価の今後
3.5 接続界面の信頼性(鉛フリーはんだの動的信頼性)
1.はじめに
2.はんだ材料の疲労試験
2.1 ひずみ範囲の影響
2.2 疲労−クリープ相互作用下における寿命評価
3.QFPリード/鉛フリーはんだ接合部の熱疲労
3.1 プルテストによるQFPリード/鉛フリーはんだ接合部の熱疲労損傷評価
3.2 QFPリード/はんだ接合部の熱疲労損傷過程
4.疲労寿命評価における今後の課題
3.6 リフトオフの発生メカニズムと抑制策
1.リフトオフの概要
2.リフトオフ発生の組織的特徴
3.リフトオフ発生に及ぼすその他の因子
4.Bi添加合金の凝固シミュレーションとリフトオフ発生メカニズム
5.Sn-Pbめっき部品で生じるリフトオフ
6.リフトオフの対策とまとめ
3.7 電極めっきと鉛フリーはんだ
1.めっき組成と鉛フリーはんだの組み合わせによる接合への影響
2.リード部品等のPbの混入による影響
3.QFPリード部品等のPbの混入による影響
4.BGA, CSP等ボール電極部品等のPbの混入による影響
5.部品電極の鉛フリー化

第4章 鉛フリーはんだ対応部品と表面処理
1.はじめに
2.鉛フリー合金めっきの基本的原理
2.1 単純塩浴からの合金の析出
2.2 錯体浴からの合金の析出
2.3 表面吸着を利用する合金の析出
3.鉛フリーはんだめっきの種類
3.1 Sn-Ag合金めっき
3.1.1 L-酒石酸錯体浴(中性浴)
3.1.2 メタンスルホン酸浴(酸性浴)
3.2 Sn-Cu合金めっき
3.3 Sn-Bi合金めっき
4.鉛フリーはんだとめっきとのぬれ性
4.1 Sn-Ag合金めっき
4.2 Sn-Cu合金めっき
4.3 Sn-Bi合金めっき
5.ウィスカ
5.1 SnおよびSn-Bi合金めっき
5.2 Sn-Ag合金めっき
5.3 Sn-Cu合金めっき
6.おわりに

第5章 鉛フリーはんだ付けプロセスと設備の課題と対応
5.1 リフローソルダリングの課題と対策
1.鉛フリー・リフローはんだ付けの課題と対策
1.1 リフロー炉の温度バラツキ
1.2 Pbの混入
1.3 ぬれにくさ
1.4 チップ立ち
1.5 セルフアライメントの低下
2.リフロープロファイル
5.2 フローはんだ付けの課題と対策
1.装置メーカの開発動向
2.はんだぬれ上がりについて
2.1 フローアップ実験
2.2 フローアップ実験結果
2.3 はんだぬれ上がりの課題と対応
3.リフトオフとフィレット表面の荒れについて
3.1 リフトオフ実験
3.2 リフトオフ実験結果
3.3 リフトオフの課題と対応
3.4 フィレット表面の荒れの観察
4.フローソルダリング装置について
5.3 手はんだ付けの課題と対応
1.はんだごての構成
2.はんだごてによるはんだ付けの問題点
3.はんだごてによるはんだ付けの基本作業

第6章 鉛フリーはんだの実用化・開発事例
6.1 ソニー
6.2 日本電気
6.3 富士通研究所
1.はじめに
2.開発の方針と目標
3.鉛フリーはんだ合金の選択
4.鉛フリーはんだ技術の開発
5.開発技術の実用化
6.おわりに
6.4 日産自動車
1.はじめに
2.開発事例
3.今後の課題
6.5 本田技術研究所
1.緒言
2.鉛フリーはんだの耐熱疲労性
3.まとめ
6.6 日本ビクター
1.はじめに
2.開発事例
3.今後の課題
6.7 オムロン
6.8 ノキア
6.9 Nortel
1.はじめに
2.合金選択
3.Nortel研究所の試行
4.完全鉛フリー接続例
5.NortelのMeridian8009電話機
6.Meridian PABX Backplanesと携帯電話
7.鉛フリー基板表面処理
8.将来の展開
9.結論
6.10 Philips
1.フロー用鉛フリーはんだの条件と合金の選択
2.エコ指標(Eco Indicator)
3.今後

第7章 鉛フリーはんだ付けの課題と今後
1.鉛フリーはんだの標準化/国際化
2.回収・リサイクルとの関係/代替材料の安全性・環境調和性
3.部品の問題
4.技術的課題
5.コストアップ

付録
付録1.鉛フリーはんだ関連特許
1.Sn-Ag-Cu系はんだ
2.Sn-Ag-Bi-Cu系はんだ
3.Sn-Ag-In-Cu系はんだ
4.Sn-Zn系はんだ
5.Sn-Bi-In系はんだ
6.その他のはんだ
7.特許戦略
付録2.鉛フリーはんだとして重要な主な3元状態図
付録3.鉛フリーはんだ・材料カタログ(社名五十音順)
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