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SOI CMOSデバイスの基礎と応用

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■体裁:A4版113ページ
■発刊:1999/10/28
■ISBNコード:4-89808-018-9

【執筆者】
土屋敏章
島根大学総合理工学部教授 工学博士

※所属、肩書き等は本書発刊当時のものです。

【序文】
いよいよSOI(Silicon on Insulator)を用いたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)LSIの本格的な量産化が開始されようとしている。マルチメディアシステム向けの高いパフォーマンスの端末装置やネットワーク情報処理装置の低消費電力化および高性能化が強く要望されている中で、SOI CMOSを用いることによるマイクロプロセッサや携帯機器用LSIの高速・低消費電力化が可能となった。CMOS LSIは本質的に低消費電力向きであり、著しい性能向上を遂げてきた。
しかし、その大規模化と動作速度の高速化によってLSIチップの消費電力が増加し、CMOSにおいても低消費電力化が必須となってきた。デバイス・プロセス技術の観点で、CMOS LSIの低消費電力化に対する有効な手段は寄生容量と電源電圧の低減である。
SOIが最近再び注目を集めるようになったのは、まさに低寄生容量化と低電源電圧化に適合したデバイスをSOI構造内に作り込むことができるからである。また、SIMOX(Separation by IMplanted OXygen)基板や各種貼り合わせ基板のSOI基板製造技術の進歩により、薄膜SOI基板の高品質化や膜厚制御性の向上が大きな推進力になっている。これまで、耐環境デバイスや高耐圧デバイスなど、主に特殊用途向けだったSOIが、今や、汎用のVLSIに応用される段階を迎えている。
本書では、SOICMOS技術において、特に、SOI CMOSデバイスの基礎が理解できるように構成したつもりである。若いデバイス・プロセス技術者や電子工学関係の大学院生、あるいは、設計技術者を対象にできるかぎりわかり易く解説している。
第1章では、SOI CMOSデバイスが汎用VLSIに応用されるに至った技術的な背景について筆者なりにまとめた。この章を冒頭にもってきたが、この章を理解するには、若干の予備知識を要するため、第2章から第5章までを読まれてから戻った方がよい場合があるかもしれない。第2章では、CMOS LSI用に用いられる各種薄膜のSOI基板について概説した。第3章では、SOIの構造そのものから得られるデバイス上の利点についてまとめた。第4章では、SOI構造に作り込むMOSFETの2つの動作モードである完全空乏型と部分空乏型の特徴についてまとめた。第5章では、デバイス特性の点で魅力的な完全空乏型のMOSFETについて詳細に述べた。寄生バイポーラ効果、短チャネル効果、ホットキャリア信頼性など、完全空乏型MOSFETを実用化する上で検討すべき事項や理解しておくべき事項、および、問題点とその解決策について述べ、完全空乏型デバイスについての理解を深める。第6章では、SOI CMOSがLSIの低消費電力化と高速化にいかに寄与できるのかを、LSIへの応用例を示しながら述べるとともに、SOIデバイスの特徴を生かした低電圧動作デバイスについて述べた。最後に、筆者なりのSOIデバイスに対する将来展望を述べて締めくくりとした。
本書が、若い技術者や研究者の方々に少しでも役立ち、今後のLSI発展に寄与することができれば望外の喜びである。

1999年10月 土屋敏章

【目次】
第1章 SOI CMOSの本格導入を可能にした背景
1.低消費電力化・高速化の強い要求
2.SOI基板の高品質化と低コスト化
3.基板浮遊効果と電源電圧低減化動向との整合性

第2章 CMOS用薄膜SOI基板
1.SIMOX基板
2.貼り合せ基板
 2.1 ダブルエッチストップ法
 2.2 ELTRAN
 2.3 UNIBOND
 2.4 PACE

第3章 SOI CMOS構造の特徴
1.低寄生容量
2.ラッチアップフリー
3.低接合リーク電流
4.高ソフトエラー耐性

第4章 SOI MOSFETの動作モード
1.完全空乏型と部分空乏型
2.部分空乏型におけるキンク現象
 2.1 定常状態でのボディ電位
 2.2 ボディ電位の固定方法
3.完全空乏型の特徴
 3.1 キンクレス現象
 3.2 急峻なサブスレッショルド特性
  3.2.1 サブスレッショルド係数
   3.2.2 短チャネル化による劣化と改善方法
 3.3 動的な基板浮遊効果の安定性
   3.3.1 インパクトイオン化
  (A)実デバイスのパルス測定
  (B)高速過渡現象のシミュレーション
   3.3.2 多数キャリア再分布
 3.4 電流駆動力の向上

第5章 完全空乏型デバイス
1. 完全空乏のための構造条件
2. 寄生バイポーラ効果
 2.1 抑制の必要性
 2.2 再結合中心導入による抑制
   2.2.1 シミュレーション解析
   2.2.2 Arイオン注入による再結合中心の導入
 2.3 バンドエンジニアリングによる抑制
 2.4 その他の抑制策
3. 短チャネル効果
 3.1 SOIにおける3つの機構
   3.1.1 完全空乏型SOI MOSFETに固有な短チャネル効果
   3.1.2 SOI固有の短チャネル効果に関連した特徴的な現象
 3.2 埋め込み酸化膜厚の効果
4. ソース・ドレイン寄生抵抗
 4.1 ソース・ドレイン層のシート抵抗
 4.2 その他の直列寄生抵抗
5. ホットキャリア信頼性
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