商品コード: RLB222640

先端ガラスの産業応用と新しい加工

販売価格(税込): 71,500
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出版図書

■体裁: B5判、334ページ
■発刊:2009/08
■ISBNコード: 978-4-7813-0152-5
■シーエムシー出版

★ フラットパネルガラスの最新技術を解説
★ 世界をリードするわが国のガラス加工技術を詳述
★ 期待が膨らむナノガラスの応用と可能性を15章にわたって紹介


【著者】
平尾一之   京都大学 大学院工学研究科 教授
三和晋吉   日本電気硝子(株) 技術部 第一グループ 主管研究員 
中尾泰昌   旭硝子(株) 執行役員;グローバル技術推進統括プロジェクト プロジェクトリーダー
森田達夫   PMディメンションズ(株) 代表取締役
倉重光宏   (地独)山口県産業技術センター プロジェクトマネージャー
三浦清貴   京都大学 大学院工学研究科 准教授
坂倉政明   京都大学 産官学連携センター 産学官連携助教
田中修平   (社)ニューガラスフォーラム ナノガラス研究本部 つくば研究室 室長
鈴木潤一   (社)ニューガラスフォーラム ナノガラス研究本部 つくば研究室 主席研究員
山地正洋   (社)ニューガラスフォーラム ナノガラス研究本部 つくば研究室 主任研究員
川島勇人   (社)ニューガラスフォーラム ナノガラス研究本部 つくば研究室 研究員 
西井準治   北海道大学 電子科学研究所 教授
西川晋司   セントラル硝子(株) 硝子研究所 主席研究員 
本間秀和   (株)KRI 材料解析研究センター マネジャー 
赤井智子   (独)産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門 グループ長 
山本浩貴   (株)日立製作所材料研究所 電子材料研究部 無機材料ユニット ユニットリーダー
矢澤哲夫   兵庫県立大学 大学院工学研究科 物質系工学専攻 教授
忠永清治   大阪府立大学 大学院工学研究科 准教授 
幸塚広光   関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授
山野晃裕   関西大学 大学院工学研究科 総合工学専攻 博士課程後期課程 
野上正行   名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授
早川知克   名古屋工業大学 大学院工学研究科 准教授
大石泰丈   豊田工業大学 大学院工学研究科 先端フォトンテクノロジー研究センター 教授
鈴木健伸   豊田工業大学 大学院工学研究科 先端フォトンテクノロジー研究センター 准教授  
小松高行   長岡技術科学大学 工学部 物質材料系 教授
本間 剛   長岡技術科学大学 工学部 物質材料系 助教
田部勢津久  京都大学 大学院人間・環境学研究科 教授
藤田俊輔   京都大学 大学院人間・環境学研究科;日本電気硝子(株) 開発部 電子・光材料グループ 主任研究員
中西貴之   京都大学 大学院人間・環境学研究科
轟 眞市   (独)物質・材料研究機構 光材料センター 主幹研究員
梶原浩一   首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 分子応用化学域 准教授
田中勝久   京都大学 大学院工学研究科 教授
寺井良平   寺井ガラス技術事務所 主宰


【序文】
 ガラスの用途は建築,自動車,エレクトロニクスなど多岐にわたるが,ナノガラスとして扱うディスプレイ,プリンターのマイクロレンズ,情報用光学部品などの応用物理に関係する製品も伸びてきている。ディスプレイ用のガラスは直接目に見えないがナノテクノロジーの宝庫である。
 次世代の液晶ディスプレイ用のガラスはサイズ3m×3mで,30nm以上の泡は全くなく,(茨城県の面積にピンポン玉の大きさ1個以下に相当)レーザーで熱処理をしているのでクラックも入らず,厚みは0.5mm以下にもなっている。
 情報通信用ガラスも非常に発達してきた。波長多重通信には広帯域で光信号の増幅を行う必要があり,さまざまな希土類元素が試されてきた。また熱膨張も課題であった。光ファイバーの温度が上がっても熱膨張がないようにガラス中に透過度の良い低熱膨張のナノ結晶を析出させ,そのバランスによって300℃くらいまでは,波長多重通信の信号が混じらないようにするなど,光増幅用希土類ドープファイバーもさまざまなナノガラスで作られている。
 また,光中継器に必要な回折格子は1個1個作るのではなく,ナノインプリントといって微細な細工をした鋳型に高温融体を流入し,ナノオーダーの精密寸法をもつガラスを成形することも可能となっている。非球面レンズを金型でつくる技術もナノテクノロジーである。
 さらに,我々のグループが行ってきた,フェムト秒レーザーを当てることで,ガラスの中に任意の屈折率分布を作る技術と新しく開発された光空間位相変調器を併用することで三次元光導波路のような光集積デバイスを三次元一括加工でき,複雑な光部品も量産化でき,多様な用途が期待されている。
 環境やエネルギー問題についても日本のガラス溶融技術は世界をリードしており,今後もさらに競争力を維持すべきである。また溶融せずガラスを作る革新的技術も日本で進んでいる。ガラスは耐環境性・耐熱性に優れ,しかも地球に豊富に存在する環境にやさしい材料である。本書で述べられているように脱炭素時代に向け,省エネルギーでアクティブなガラスがさらにぞくぞくとでるような研究開発が今後も一層加速することを期待したい。
(「はじめに」より抜粋)

2009年8月  京都大学 大学院工学研究科 平尾一之

【目次】
序章 ガラスの高機能化と開発動向(平尾一之)
1. はじめに
2. 高機能ナノガラスの研究
3. ディスプレイ用ガラス材料開発
4. 溶融プロセス改善と革新的省エネルギーガラス溶解技術
5. おわりに

【第1編 フラットパネルガラスと開発の現状】
第1章 液晶ディスプレイ用ガラス基板と薄板ガラスの応用(三和晋吉)

1. はじめに
2. 液晶ディスプレイに用いられるガラス材料
2.1 LCD用ガラス基板
2.2 AM-LCD用ガラス基板
2.2.1 無アルカリガラス
2.2.2 耐熱性、低熱収縮
2.2.3 耐薬品性
2.2.4 高光透過率
2.2.5 表面精度
2.3 AM-LCD用ガラス基板の技術動向
2.3.1 大面積化
2.3.2 薄肉化、軽量化
2.3.3 グリーンガラス
2.3.4 平坦性、表面品位
2.4 AM-OLED用ガラス基板の技術動向
3. 超薄膜ガラス
3.1 フレキシビリティ
3.2 ガスバリア性
3.3 高光透過率・ガラス特性
4. おわりに

第2章 AGCにおけるフラットパネルディスプレイ用ガラス部材の取り組み現状と課題(中尾泰昌)
1. はじめに
2. 代表的FPDの構造
2.1 LCDの構造
2.2 PDPの構造
3. FPD用ガラス関連部材とAGCの取り組み
3.1 ガラス基板
3.1.1 LCD用ガラス基板
3.1.2 PDP用ガラス基板
3.2 バックライト用ガラス管
3.3 PDP用光学フィルター
3.4 フリット・ペースト
4. 今後

第3章 基板ガラスの役割・現状と期待(森田達夫)
1. TFT-LCDにおける基板ガラスの役割
2. TFT基板の製造プロセス
3. 結晶育成基板としての期待
3.1 背景
3.2 新しい加工
  
第4章 FPD技術と開発動向(倉重光宏) 
1. はじめに
2. 部材産業からみたFPDの市場動向
3. FPD技術動向
3.1 PDP
3.2 LCD
3.3 有機EL(Organic Light Emitting Diode:OLED)
3.4 その他
4. 太陽電池
5. おわりに

【第2編 ガラスの革新的先端加工】
第1章 fsレーザーによる内部加工の特徴(三浦清貴)

1. はじめに
2. フェムト秒レーザー集光照射の特徴
2.1 レーザー照射直後からナノ秒領域までの現象
2.2 ナノ秒からマイクロ秒領域にかけての現象
3. 高密度化による屈折率変化
4. 元素分移動による屈折率変化
5. おわりに

第2章 液晶空間光変調器とレーザーによるガラスの一括三次元加工(坂倉政明)
1. はじめに
2. ホログラフィック加工の原理
2.1 原理の概要
2.2 空間光変調器について
2.3 位相ホログラムの計算方法
3. 実験装置について
4. パターン形成の具体的な方法と事例
4.1 ホログラムの作成方法
4.2 CGHへの光学素子機能付加について
5. 応用例
5.1 三次元光メモリ
5.2 大面積パターンの描画
5.3 他のレーザー加工法との比較
5.4 屈折率変化を利用した光導波路と回折光学素子
6. おわりに

第3章 ガラス・ホログラムとフェムト秒レーザーによるガラス内部の高速・高精度3次元一括加工(田中修平、鈴木潤一、山地正洋、川島勇人)
1. はじめに
2. フェムト秒レーザーとは
3. フェムト秒レーザー加工
3.1 3次元逐次照射加工(従来の加工法)
3.1.1 加工法:フェムト秒レーザーの逐次照射による3次元加工
3.1.2 逐次照射によるデバイスの試作例
3.1.3 逐次照射加工の課題:逐次照射による3次元造形の問題点
3.2 3次元一括加工(ホログラム加工)
3.2.1 ガラス・ホログラムによる加工法(一括加工システム)
3.2.2 ガラス・ホログラムによる高精度3次元加工
3.2.3 ガラス・ホログラムによる高速度3次元造形
3.2.4 ガラス・ホログラムによる3次元デバイスの作製例
4. ガラス・ホログラムによるデバイス加工技術の実用化に向けての考察
4.1 フェムト秒レーザー加工用材料(ガラスを主に)
4.1.1 溶融ガラス
4.1.2 特殊溶融ガラス
4.1.3 人工ガラス
4.2 フェムト秒レーザーの高出力化動向
4.3 ホログラムの耐光性および画素数
4.4 製造コストについて
4.5 主な応用分野
5. おわりに

第4章 リソグラフィーとエッチングによる表面微細加工(西井準治)
1. はじめに
2. リソグラフィーとドライエッチング
3. 1次元周期構造の形成例
3.1 レーザー2光束干渉法とドライエッチングによる回折格子の作製
3.2 深溝回折格子の表面保護
3.3 可視域で機能する深溝回折格子
3.4 深溝回折格子の応用例
4. 2次元周期構造(反射防止構造)の形成例
4.1 加工方法
4.2 表面処理による特性改善
5. まとめ
                      
第5章 CO2レーザー照射によるガラス基板の端面加工技術(西川晋司)
1. はじめに
2. CO2レーザー照射による端面加工方法
2.1 歪点を超える基板全体の予備加熱を併用した端面加工
2.2 歪点を超える基板全体の予備加熱を必要としない端面加工(1)(シングルビーム法)
2.3 歪点を超える基板全体の予備加熱を必要としない端面加工(2)(ダブルビーム法)
3. 端面加工されたガラス基板の評価
3.1 ガラス基板の残留応力
3.2 端面強度
3.2.1 ガラス基板の曲げ強度
3.2.2 ガラス基板端面の耐欠け性
4. おわりに

第6章 FE-EPMAによる加工ガラスの分析と評価(本間秀和)
1. はじめに
2. FE-EPMAの特徴
2.1 空間分解能
2.2 WDSスペクトルによる化学状態分析
3. ガラス材料のFE-EPMA分析例
3.1 ホウケイ酸ガラスのフェムト秒レーザー加工物(微小部元素組成変化)
3.2 テルライト系ガラスのフェムト秒レーザー加工物(化学状態分析)
4. まとめ   
 
【第3編 ナノガラス応用】
第1章 ガラスインプリント技術(西井準治)

1. はじめに
2. ガラスモールド法の現状
3. 1次元周期構造の成形
4. 2次元周期構造の成形
5. 鋸歯構造の成形
6. まとめ

第2章 蛍光ガラス(赤井智子)
1. はじめに
2. 蛍光ガラス材料の種類
3. 多孔質ガラスを焼成・緻密化させた金属ドープ蛍光ガラス
4. 蛍光ガラスの用途
5. おわりに

第3章 光デバイス用ナノガラスアーキテクチャー(三浦清貴)
1. はじめに
2. 金属ナノ微粒子析出
3. ナノグレーティング形成
4. 高密度化による高屈折率化
5. 元素分布形成による高屈折率化
6. シリコン(Si)析出
7. 液晶空間光位相変調素子(LCOS-SLM)を利用した一括加工
8. おわりに

第4章 Fe2O3系ナノガラス薄膜の光ディスクへの応用(山本浩貴)
1. はじめに
2. 実験方法
2.1 光超解像膜を形成した記録型光ディスクの作製
2.2 加熱による分光特性のin-situ測定
2.3 超解像膜を形成した光ディスクの記録再生方法
3. 結果と考察
3.1 Fe2O3系超解像薄膜のナノ構造と分光特性
3.2 加熱による分光反射率曲線の変化
3.3 光ディスク記録再生試験結果
3.4 記録時、再生時の超解像メカニズムの考察
4. まとめ

第5章 ナノポアガラス(矢澤哲夫)
1. ナノポアガラスとは
2. ナノポアガラスの作成法
2.1 分相法
2.1.1 10~50nmのナノポアを得る方法
2.1.2 5nm以下のナノポアを得る方法
2.2 結晶化ガラス法
2.3 ゾルゲル法
3. ナノポアガラスの特性
4. ナノポアガラスの応用
4.1 ナノポアの利用
4.1.1 ポアサイズの利用
4.1.2 表面改質したナノポアの利用
4.1.3 反応場としての利用
4.2 複合材料としての利用
5. おわりに

第6章 ナノ構造を有する透明超撥水コーティング膜(忠永清治)
1. はじめに
2. 表面の濡れ性
3. ガラスへの超撥水性付与
4. 表面に微細な凹凸を持つ薄膜のガラス基板上への作製
4.1 Al2O3系
4.2 TiO2系
5. 微細凹凸構造を有する薄膜の撥水処理による超撥水膜の作製
6. おわりに

第7章 ポリシラザンから室温で作製される新しいナノガラス・ナノハイブリッド薄膜(幸塚広光、山野晃裕)
1. はじめに
2. ポリシラザンから室温で作製されるシリカ薄膜
2.1 PHPS薄膜のシリカ薄膜への変化
2.2 塩基性蒸気への曝露によるPHPS薄膜のシリカ薄膜への変化とシリカ薄膜の性質
3. ゾル-ゲル法によるよりも高い硬度と化学的耐久性を持つ有機・無機ハイブリッド薄膜の作製
4. ポリシラザンの疎水性を利用したハイブリッド薄膜の新しい展開

第8章 ゾル-ゲル法による光機能ナノガラス(野上正行、早川知克)
1. はじめに
2. ナノ粒子ドープガラスの光特性
3. ナノ粒子-希土類イオン共ドープガラス
4. 希土類イオンドープガラスの光非線形特性

第9章 結晶化ガラスを用いた光増幅(大石泰丈、鈴木健伸)
1. はじめに
2. 高効率Ni2+のホスト結晶の検討 
3. Ni2+添加ZnO-Al2O3-SiO2透明結晶化ガラスの光学特性
4. Ni2+添加Li2O-Ga2O3-SiO2透明結晶化ガラスの光学特性
5. Ni2+添加Li2O-Ga2O3-SiO2系ガラスの構造と熱特性
6. まとめ
             
第10章 原子加熱法によるガラスの結晶化と機能化(小松高行、本間剛)
1. はじめに
2. 原子加熱法によるガラスの結晶化と特徴
3. 非線形光学結晶のパターニング
3.1 曲線および分岐構造を有する結晶ラインパターニング
3.2 強誘電体LiNbO3結晶ラインパターニング
3.3 強弾性体β'-Gd2(MoO4)3結晶ラインパターニング
4. フッ化物結晶のパターニング
5. リチウムイオン二次電池用結晶のパターニング
6. 原子加熱法と化学エッチングの組合せによる微細加工
7. おわりに

第11章 白色LED用結晶化ガラス(田部勢津久、藤田俊輔、中西貴之)
1. はじめに
2. 白色LEDの現状と課題
3. YAG:Ce3+結晶化ガラス蛍光体
3.1 YGA結晶化ガラスの創製
3.2 光学特性
3.3 信頼性の評価
3.4 物理特性
4. 高演色性白色LED蛍光体
4.1 2結晶析出結晶化ガラスの創製
4.2 光学特性
5. まとめ
 
第12章 ファイバヒューズ(轟眞市)
1. はじめに
2. なぜ損傷が発生するのか?
3. なぜ空孔列が生成するのか?
4. なぜ空孔が弾丸の形になるのか?
5. おわりに

第13章 シリカガラスの新展開(梶原浩一)
1. はじめに
2. 加工法の進展
2.1 レーザーアブレーション法
2.2 フェムト秒レーザー光による加工
2.3 熱インプリント法
3. 合成法の進展
3.1 粉末焼結法
3.2 フェームドシリカ焼結法
3.3 ゾル-ゲル法
4. 基礎物性・解析法
4.1 シリカガラスの網目構造の乱雑さ
4.2 ガラス表面における構造緩和
5. 応用
5.1 エキシマレーザーリソグラフィー用光学材料
5.2 深紫外光ファイバー
  
第14章 磁気光学ガラス(田中勝久)
1. 磁気光学効果
1.1 ファラデー効果
1.2 磁気カー効果
2. 磁気光学材料とデバイス
3. ガラスのファラデー効果
3.1 希土類含有ガラス
3.2 Fe2+含有ガラス
3.3 反磁性ガラス
3.4 複合材料
4. アモルファス合金の磁気カー効果と光磁気記録

終章 ナノガラスの将来展望(寺井良平)
1. アメリカ発のナノテクノロジー
2. ナノガラス技術プロジェクトの開始
3. 「ナノガラス技術プロジェクト」の成果
4. デバイス用高機能化ナノガラスプロジェクト(「フォーカス21」)
5. 革新的部材産業創出プログラム
6. ナノガラス関連の研究成果の特徴
7. フォト二クスネットワークの構築―量子コンピューター(光コンピューター)へ―
8. 「再生可能エネルギー」時代への布石―「スマートグリッド」にも光回路ネットワークを
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