商品コード:
RLB223038
コロイド結晶の形成とその応用
販売価格(税込):
74,800
円
ポイント:
680
Pt
■体裁:B5判・251頁
■発刊:2020年5月29日
■ISBNコード:978-4-7813-1502-7
■シーエムシー出版
【監修】
中村浩
【刊行にあたって】
これまでこのコロイド結晶については、液中で形成するコロイド結晶についての研究や分散液の乾燥や沈降で形成するコロイド結晶についての研究、あるいは組成が異なる粒子や複合化された粒子からなるコロイド結晶の研究やその応用に関する研究など、多くの研究が行われてきたが、それをまとめた書籍はほとんど見られなかった。そこで本書ではこれら最先端の研究について著名な先生方に執筆頂き、“コロイド結晶の形成と応用”としてまとめさせていただくことにした。
第1章では荷電粒子の静電相互作用による液中コロイド結晶の形成とその制御として、荷電コロイド粒子系について、その相転移やコロイド結晶の単結晶化について触れるとともに、荷電コロイド粒子からなる薄膜型コロイド結晶の成長過程や準安定状態によるコロイド結晶の結晶形成制御、さらには荷電粒子によるコロイド結晶形成シミュレーションについて説明する。
第2章では枯渇引力による液中コロイド結晶の形成とその制御として、枯渇引力で形成するコロイド結晶やその成長プロセスと枯渇引力によるコロイド結晶形成シミュレーションについて取り上げる。
第3章では剛体球粒子の集積によるコロイド結晶の形成とその制御として、移流集積法を用いた周期的コロイド堆積膜やコロイド粒子の自己集積による構造形成とシミュレーション解析、そして、剛体球粒子分散系の構造形成シミュレーション、濃縮結晶化現象によるコロイド結晶薄膜について触れる。
第4章では濃厚ブラシ/シリカ微粒子複合系のコロイド結晶や黒色粒子によるコロイド結晶、ハイドロゲル微粒子からなるコロイド結晶、チタニアナノシート単分散粒子からなるコロイド結晶などについてその作製法から特徴、特性について説明する。
最後に第5章ではコロイド結晶の応用として、角度依存性のないコロイド結晶、ポリマーで固定化した歪み応答材料のフォトニックラバーや構造色エラストマー、ゲルで固定化したコロイドフォトニック結晶やコロイド結晶レーザー発振デバイス、そして、構造色を利用したポリマー固定化コロイド結晶色材や人工オパールについて具体的に紹介する。
本書がコロイド結晶の新たな展開につながることを期待したい。
中村 浩(「はじめに」より抜粋)
【著者】
中村浩 ㈱豊田中央研究所
山中淳平 名古屋市立大学
豊玉彰子 名古屋市立大学
伊藤研策 富山大学
奥薗透 名古屋市立大学
野澤純 東北大学
渡邉哲 京都大学
宮原稔 京都大学
礒部雅晴 名古屋工業大学
不動寺浩 (国研)物質・材料研究機構
大野工司 京都大学
桑折道済 千葉大学
本田健士郎 信州大学
湊遥香 信州大学
佐々木悠馬 信州大学
鈴木大介 信州大学
竹岡敬和 名古屋大学
澤田勉 ソフトフォトニクス合同会社
猪股克弘 名古屋工業大学
金井俊光 横浜国立大学大学院
古海誓一 東京理科大学大学院
德弘香弥 東京理科大学大学院
佐藤龍 東京理科大学大学院
石井昌彦 ㈱豊田中央研究所
内田文生 富士化学㈱
川中智司 富士化学㈱
今井宏起 富士化学㈱
【目次】
<巻頭カラー口絵>
第1章 荷電粒子の静電相互作用による 液中コロイド結晶の形成とその制御
1 荷電コロイド系の結晶化
1.1 はじめに
1.2 コロイドの安定化
1.3 静電相互作用
1.4 荷電コロイドの結晶化
1.5 塩基の添加による表面電荷数の制御
1.6 荷電コロイドの結晶化に対する温度の影響
1.7 塩基の解離の温度依存性を用いた結晶化の温度制御
1.8 イオン性界面活性剤の吸着を用いた結晶化の温度制御
1.9 おわりに
2 一方向結晶成長による大型荷電コロイド単結晶の作製
2.1 はじめに
2.2 塩基の拡散による一方向結晶成長
2.3 温度勾配下での一方向結晶成長
2.4 高分子ゲルによる結晶の固定
2.5 おわりに
3 準安定状態の分散液をもちいたコロイド結晶形成
3.1 準安定状態
3.2 コロイド結晶の作製
4 薄膜型コロイド結晶の成長過程
4.1 薄膜型コロイド結晶の作製
4.2 薄膜型コロイド結晶成長過程の解析
4.2.1 スペクトル測定
4.2.2 光学顕微鏡観察
4.2.3 液晶チューナブルフィルターを用いた結晶粒の観察
4.2.4 Kikuchi-Kossel線測定
5 荷電粒子によるコロイド結晶形成シミュレーション
5.1 荷電コロイド粒子系のモデル
5.2 荷電コロイド粒子系の数値シミュレーション
第2章 枯渇引力による液中コロイド結晶の形成とその制御
1 枯渇引力により生成するコロイド結晶
1.1 枯渇引力とは
1.2 枯渇引力による1成分系の結晶化
1.3 多成分系の結晶化
1.3.1 枯渇引力による多成分コロイドの結晶化
1.3.2 枯渇引力による2成分コロイドの結晶化相図
1.4 ソフトなコロイド粒子の結晶化
2 枯渇凝集引力系コロイド結晶の核形成と成長プロセス
2.1 はじめに
2.1.1 粒子間に引力が働く系のコロイド結晶成長
2.1.2 モデルとしてのコロイド結晶
2.1.3 引力系コロイド結晶表面の2次元核形成
2.2 枯渇凝集引力によるコロイド結晶化
2.3 枯渇凝集引力による核形成と結晶成長プロセス
2.3.1 テラス上での2次元核形成
2.3.2 古典的核形成理論の適用
2.3.3 異種基板上への核形成
2.4 キンク形成とステップ成長
2.4.1 キンク形成メカニズムとステップ成長速度
2.4.2 キンク距離と粒子間相互作用
2.5 まとめ
3 枯渇引力によるコロイド結晶形成・凝集体成長シミュレーション
3. 1 枯渇引力系のモデル
3. 2 枯渇引力系の凝集体形成のシミュレーション
第3章 剛体球粒子の集積による コロイド結晶の形成とその制御
1 移流集積法を用いた周期的コロイド堆積膜の形成
1.1 移流集積法
1.2 ストライプ構造の形成
1.3 格子構造の形成
1.4 ライン状ドット構造の形成
1.5 「縦」ストライプ構造の形成
1.6 まとめ
2 周期的コロイド堆積膜形成過程の直接観察とシミュレーション解析
2.1 メニスカス形状変化のシミュレーション解析
2.2 メニスカス形状変化の直接観察
2.3 ストライプ構造の周期性予測モデル
2.4 まとめ
3 剛体球粒子分散系の構造形成シミュレーション
3.1 はじめに
3.2 剛体球系小史
3.3 剛体球系シミュレーションの方法論の発展
3.3.1 最近接粒子の判定法
3.4 剛体球系の相転移
3.4.1 2次元系の融解問題(2次元アルダー転移問題)
3.4.2 3次元剛体球系
3.4.3 剛体球分散系とガラス転移
3.5 まとめ
4 濃縮結晶化現象によるコロイド結晶薄膜
4.1 はじめに
4.2 オイル被覆下における濃縮結晶現象
4.3 コロイド結晶薄膜の製膜プロセス
4.3.1 水平型コロイド結晶成膜
4.3.2 垂直型コロイド結晶成膜
4.4 コロイド結晶薄膜の大面積化
4.5 おわりに
第4章 いろいろなコロイド結晶
1 ポリマーブラシ付与複合微粒子からなるコロイド結晶
1.1 はじめに
1.2 ポリマーブラシ付与複合微粒子の精密合成
1.3 複合微粒子集積フィルムの構造と機能
1.4 準ソフト系コロイド結晶の創製
1.5 準ソフト系コロイド結晶の構造と機能
1.6 ポリマーブラシ付与複合微粒子の二成分系コロイド結晶の形成
1.7 おわりに
2 黒色粒子によるコロイド結晶
2.1 はじめに
2.2 自然界における構造発色
2.3 天然メラニンとポリドーパミン
2.4 コロイド結晶による構造色材料
2.5 黒色粒子による構造発色
2.5.1 ポリドーパミン粒子による構造発色
2.5.2 ポリドーパミンをシェル層とするコア-シェル粒子による構造発色
2.6 黒色材料の添加による構造発色
2.7 おわりに
3 ハイドロゲル微粒子からなるコロイド結晶
3.1 はじめに
3.2 ゲル微粒子とは
3.3 界面における二次元コロイド結晶化
3.4 三次元空間に形成されるゲル微粒子コロイド結晶
3.5 おわりに
4 チタニアナノシートコート粒子からなるコロイド結晶
4.1 コロイド結晶の応用展開とコア・シェル粒子の必要性
4.2 チタニアナノシートをコートしたコア・シェル型粒子
4.2.1 高屈折率シェルを有するコア・シェル型粒子
4.2.2 LBL法によるチタニアナノシートコート粒子の合成
4.2.3 チタニアナノシートコート粒子の特性
4.2.4 チタニアナノシートコート粒子からなるコロイド結晶の作製
4.2.5 チタニアナノシートコート粒子からなるコロイド結晶の特性
4.2.6 コロイド結晶の光学特性に及ぼすチタニアナノシートコート粒子の厚みの影響
4.3 おわりに
第5章 コロイド結晶の応用
1 角度依存性のないコロイド結晶の作製とその光学特性
1.1 色材の開発における新たな挑戦
1.2 生活に利用できる構造発色性材料の開発
1.3 球状のコロイド結晶
1.4 安全な白と黒の素材を利用した球状のコロイド結晶の開発
1.5 まとめ
2 フォトニックラバー:ポリマー固定化歪み応答材料
2.1 はじめに
2.2 フォトニックラバーの構造色と変色の仕組み
2.3 センシング素子としての応用を目指して
2.4 成膜プロセス
2.5 実用化を目指した研究
2.6 おわりに
3 構造色エラストマー
3.1 はじめに
3.2 構造色エラストマーの調製と測定
3.2.1 高分子微粒子およびコロイド結晶フィルム
3.2.2 構造色エラストマーの調製
3.2.3 測定
3.3 膨潤コロイド結晶フィルムが示す構造色
3.4 高分子マトリックス中へのコロイド結晶と構造色の固定化
3.5 構造色エラストマーの歪応答性構造色変化
3.6 構造色エラストマー変形時のコロイド結晶構造の変化
3.7 構造色エラストマー調製時における構造色の保持
3.8 おわりに
4 高分子ゲル固定コロイドフォトニック結晶のスペクトルチューニング
4.1 はじめに
4.2 高分子ゲル固定コロイド結晶フィルムの作製方法
4.3 溶媒,ゲル組成によるスペクトルチューニング
4.4 温度,ゲル組成によるスペクトルチューニング
4.5 高分子ゲルの異方的な体積変化によるチューニング感度の向上法
4.6 おわりに
5 コロイド結晶によるレーザー発振
5.1 はじめに
5.2 フォトニック結晶としてのコロイド結晶
5.3 微粒子の合成とコロイド結晶の反射特性
5.4 コロイド結晶の作製方法と応用研究
5.5 コロイド結晶を用いたレーザー発振
5.6 コロイド結晶ゲル膜による波長可変レーザー発振
5.7 コロイド結晶エラストマー膜による波長可変レーザー発振
5.8 まとめ
6 ポリマー固定化コロイド結晶色材
6.1 はじめに
6.2 スピンコート法により作製されるアクリルポリマー固定化コロイド結晶
6.3 スプレー塗装法により作製されるポリマー固定化コロイド結晶
6.3.1 基板の濡れ性
6.3.2 コロイド分散液の粘度
6.3.3 スプレー塗装によるコロイド結晶膜の作製
6.3.4 スプレー塗装で作製したコロイド結晶膜の構造
6.3.5 スプレー塗装による発色パターン形成
6.4 ポリマー固定化コロイド結晶の応用に際して
6.4.1 コロイド結晶の顔料としての利用
6.4.2 コロイド結晶への顔料添加
6.4.3 アクリルモノマー組成による柔軟性の付与
6.5 おわりに
7 人工オパールとコロイド結晶色材
7.1 天然オパールと人工オパール
7.2 人工オパール
7.3 単分散球状シリカの合成
7.4 粒子の形状及び性質
7.5 コロイド結晶の作製
7.6 ゲル固定化結晶から樹脂固定化結晶へ
7.7 結晶の調整・色彩,大きさなど
7.8 天然のオパールとの比較
7.9 その他の技術