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RLB223111
有機フッ素化合物の最新動向
販売価格(税込):
90,200
円
ポイント:
820
Pt
■体裁:B5判・317頁
■発刊:2018年7月30日
■ISBNコード:978-4-7813-1337-5
■シーエムシー出版
【監修】
今野勉
【刊行にあたって】
有機フッ素化合物の多様性に伴い、その開発が急速に拡大し、有機フッ素化合物の有用性が広く認知された結果、これまで、有機フッ素化合物を取り扱ってこなかった有機化学者にも、有機フッ素化学研究が深く浸透し、定着するようになった。こうしたことは、新しいフッ素化試薬やフルオロアルキル化試薬の飛躍的な進歩、あるいは有機金属錯体を用いた有機フッ素化合物の新規合成手法の開発を誘起し、また、強固な炭素-フッ素結合を、炭素-炭素結合生成反応に積極的に活用する、「炭素-フッ素結合活性化反応」という新たな研究領域の誕生をも促した。
こうした現状を鑑みると、現行の有機フッ素化学研究は、一昔前の、いわゆる「成長期」から、より高度な技術革新が迫られる「成熟期」に移行しつつあるように感じる。こうした状況において、本書は、今後の有機フッ素化学の新たな進化を誘起するために、「有機フッ素化合物の最新動向」というタイトルの下、そのコンテンツを「合成」と「応用」に大別し、近年、特に注目されている領域のトピックをそれぞれ取り上げた。「合成」では、各種フッ素化剤ならびにフルオロアルキル化剤の現状紹介に始まり、特異な骨格構築法や不斉合成法、また、産業界で汎用されるフッ素含有基幹物質を利用した最新の合成反応などを取り上げた。一方、「応用」では、医農薬分野への応用と機能性材料分野への応用に分類し、機能性材料分野への応用においては、さらに二大別し、フッ素含有低分子の応用例とフッ素含有高分子の応用例を紹介した。前者では、特に蓄電デバイス、有機半導体材料、あるいは発光材料への最近の応用例を取り上げた。後者では、2013 年に(株)シーエムシー出版から刊行されている「フッ素樹脂の最新動向」には取り上げられていない最近のトピックを取り上げた。そのため、フッ素樹脂に関するさらなる詳細を知りたい方は、同著書を参照されたい。
このように、広範な範囲を網羅した本書ではあるが、それぞれのトピックは、極めて専門的かつ最新であり、今後の有機フッ素化学の第二次成長の糧になることに疑いはなく、読者の皆様に有意義な情報を数多く提供できるものと確信している。
今野勉(「はじめに」より抜粋)
【著者】
今野勉 京都工芸繊維大学
柴富一孝 豊橋技術科学大学
網井秀樹 群馬大学
國信洋一郎 九州大学
新名清輝 名古屋工業大学
柴田哲男 名古屋工業大学
住井裕司 名古屋工業大学
藤田健志 筑波大学
渕辺耕平 筑波大学
市川淳士 筑波大学
山崎孝 東京農工大学
丹羽節 (国研)理化学研究所
矢島知子 お茶の水女子大学
井上宗宣 (公財)相模中央化学研究所
山口博司 名古屋大学
水上進 東北大学
平井憲次 (公財)相模中央化学研究所
小林修 (公財)相模中央化学研究所
森達哉 住友化学㈱
氏原一哉 住友化学㈱
庄野美徳 住友化学㈱
南部典稔 東京工芸大学
山田重之 京都工芸繊維大学
久保田俊夫 茨城大学
折田明浩 岡山理科大学
船曳一正 岐阜大学
大槻記靖 日本ゼオン㈱
伊藤隆彦 ㈱フロロテクノロジー
井本克彦 ダイキン工業㈱
入江正樹 ダイキン工業㈱
長谷川直樹 ㈱豊田中央研究所
宮崎久遠 旭化成㈱
西栄一 旭硝子㈱
【目次】
第1章 フッ素化合物の合成
1 最近のフッ素化剤動向
1.1 はじめに
1.2 求核的フッ素化剤の動向
1.2.1 Fluolead
1.2.2 XtalFluor
1.2.3 PhenoFluor
1.2.4 PhenoFluorMix
1.2.5 PyFluor
1.3 N-F結合型求電子的フッ素化剤の最近の応用例
1.3.1 遷移金属触媒を用いたC-F結合形成反応
1.3.2 キラルアニオン相間移動触媒
1.4 おわりに
2 最近のフルオロアルキル化剤の動向
2.1 はじめに
2.2 求核的トリフルオロメチル化反応の進展
2.3 求電子的トリフルオロメチル化反応,酸化的トリフルオロメチル化反応の進展
2.4 ラジカル的トリフルオロメチル化反応の進展
2.5 おわりに
3 位置選択的なトリフルオロメチル化反応の開発
3.1 はじめに
3.2 C(sp2)-H結合の位置選択的なトリフルオロメチル化
3.2.1 5員環ヘテロ芳香族化合物の位置選択的なトリフルオロメチル化
3.2.2 6員環ヘテロ芳香族化合物の位置選択的なトリフルオロメチル化
3.2.3 芳香族化合物の位置選択的なトリフルオロメチル化
3.2.4 オレフィン性C-H結合の位置選択的なトリフルオロメチル化
3.3 C(sp3)-H結合の位置選択的なトリフルオロメチル化
3.3.1 カルボニルα位のトリフルオロメチル化
3.3.2 ベンジル位のトリフルオロメチル化
3.4 今後の展望
4 ペンタフルオロスルファニル化合物の最新動向
4.1 はじめに
4.2 SF5基置換芳香族炭化水素の合成
4.3 SF5基置換複素環式化合物の合成
4.3.1 芳香族炭化水素上にSF5基が結合した複素環式化合物の合成
4.3.2 SF5基が複素環上に直接結合した複素環式化合物(5員環)の合成
4.3.3 SF5基が複素環上に直接結合した複素環式化合物(6員環)の合成
4.4 SF5芳香環部位およびSF5複素環式化合物部位を直接導入する試薬の開発
4.5 おわりに
5 トリフルオロメタンスルホニル基含有化合物の最新動向
5.1 はじめに
5.2 芳香族トリフロン(Ar-SO2CF3),複素環トリフロン(HetAr-SO2CF3)の合成
5.2.1 フリーデル・クラフツ反応を用いる手法
5.2.2 Thia-Fries転位を用いる合成法
5.2.3 超原子価ヨードニウム塩を用いたアリールトリフロンの合成
5.2.4 芳香族ジアゾ化合物とCF3SO2Naを用いた手法
5.2.5 CF3SO2NaとPd触媒下でのカップリング反応を用いた手法
5.2.6 ベンザインに対するトリフリル化反応
5.2.7 N-芳香族プロピオールアミドとスルフィン酸の光環化反応
5.2.8 トリフリルジアリール-λ3-ヨードニウムイリド塩試薬を用いた芳香族トリフロン, ピリジルトリフロンの合成
5.3 おわりに
6 テトラフルオロエチレン基を有する有機分子の合成開発
6.1 はじめに
6.2 テトラフルオロエチレン基含有化合物の合成法
6.2.1 直接法
6.2.2 間接法(ビルディング・ブロック法)
7 フッ素脱離を利用する炭素-フッ素結合活性化反応の現状
7.1 序
7.2 遷移金属によるフッ素脱離
7.3 β-フッ素脱離によるC-F結合活性化
7.3.1 酸化的環化
7.3.2 酸化的付加
7.3.3 求電子的カルボ(アミノ)メタル化
7.3.4 挿入
7.3.5 ラジカル付加
7.4 α-フッ素脱離によるC-F結合活性化
7.5 総括
8 フッ素原子あるいは含フッ素アルキル基を有する不斉炭素の構築法
8.1 はじめに
8.2 触媒的アルドール反応
8.3 キラルなスルフィンアミドを用いた反応
8.4 直接的なトリフルオロメチル化ならびにフッ素化反応
8.5 環化を伴うトリフルオロメチル化ならびにフッ素化反応
8.6 アルキン類と含フッ素カルボニル化合物との反応
8.7 含フッ素アルキン類とα,β-不飽和カルボニル化合物との反応
8.8 トリフルオロメチル基を有した化合物のプロトン移動反応
8.9 おわりに
9 TFE,HFP,CTFEなどの安価な市販のフッ素原料を用いた合成
9.1 はじめに:ペルフルオロアルケン類を起点とする精密有機合成
9.2 脱フッ素を経る置換反応
9.2.1 10族遷移金属触媒を用いた交差カップリング反応
9.2.2 銅触媒を用いた交差カップリング反応
9.2.3 N-ヘテロサイクリックカルベン(NHC)類の付加
9.3 炭素-炭素二重結合への付加反応
9.3.1 銅を用いた付加反応
9.3.2 金属フッ化物の付加を起点とする変換
9.3.3 ニッケル(0)錯体への環化付加を経る変換
9.4 ペルフルオロアルケン類の交差オレフィンメタセシス反応への利用
9.5 TFEの実験室レベルでの新規発生法
9.6 最後に
10 可視光レドックス触媒を用いた有機フッ素化合物の合成
10.1 はじめに
10.2 ルテニウム,イリジウム錯体を用いた可視光ペルフルオロアルキル化
10.3 有機色素を用いた可視光ペルフルオロアルキル化
10.4 錯形成などを利用した可視光ペルフルオロアルキル化
10.5 おわりに
第2章 医農薬分野への応用
1 フッ素系医薬の動向
1.1 はじめに
1.2 フッ素系医薬
1.2.1 消化器官用薬
1.2.2 糖尿病治療薬
1.2.3 循環器官用薬
1.2.4 血液用薬
1.2.5 鎮痛・抗炎症薬
1.2.6 内分泌系用薬
1.2.7 抗菌薬
1.2.8 抗真菌薬
1.2.9 抗ウィルス薬
1.2.10 抗悪性腫瘍薬
1.2.11 中枢神経系用薬
1.2.12 泌尿器官用薬
1.2.13 感覚器官用薬
1.2.14 呼吸器官用薬
1.2.15 遺伝性疾患治療薬
1.2.16 放射線診断用薬
2 PET用診断薬の合成ならびにその応用
2.1 PET検査について
2.2 サイクロトロンと標識合成装置
2.3 PET核種について
2.4 PET核種18Fについて
2.4.1 18O(p, n)18F反応について
2.4.2 20Ne(d,α)18F反応について
2.4.3 その他の18F製造法について
2.5 当院における18F-PET用診断薬について
2.6 その他の臨床研究18F-PET診断薬
2.7 新規18F-PET診断薬の開発に向けて
3 MRIなどへの機能性含フッ素プローブ応用
3.1 はじめに
3.2 分子イメージングプローブの開発(その1):OFF/ON型低分子19F MRIプローブ
3.3 19F MRIプローブの高感度化
3.4 分子イメージングプローブの開発(その2):OFF/ON型ナノ粒子19F MRIプローブ
3.5 まとめ
4 フッ素系農薬の開発動向
4.1 はじめに
4.2 フッ素系除草剤
4.2.1 アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害剤
4.2.2 プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPO)阻害剤
4.2.3 カロテノイド生合成阻害剤
4.2.4 細胞分裂阻害剤
4.2.5 その他のフッ素系阻害剤
4.3 フッ素系殺虫剤
4.3.1 GABA作動性塩化物イオン(塩素イオン)チャネルブロッカー
4.3.2 ナトリウムチャネルモジュレーター
4.3.3 ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)競合的モジュレーター
4.3.4 プロトン勾配を撹乱する酸化的リン酸化脱共役剤
4.3.5 キチン生合成阻害剤
4.3.6 ミトコンドリア電子伝達系複合体及び複合体阻害剤
4.3.7 リアノジン受容体モジュレーター
4.3.8 その他の作用機構に属するフッ素系殺虫剤
4.3.9 作用機構が不明あるいは不明確なフッ素系殺虫剤
4.4 フッ素系殺菌剤
4.4.1 ミトコンドリア呼吸鎖電子伝達系複合体阻害剤
4.4.2 ステロール生合成のC14位のデメチラーゼ阻害剤(DMI剤)
4.4.3 その他の作用機構に属するフッ素系殺菌剤
4.4.4 作用機構未分類のフッ素系殺菌剤
4.5 最後に
5 含フッ素家庭防疫用殺虫剤の探索研究
5.1 はじめに
5.2 アミドフルメト
5.3 ジメフルトリン
5.4 メトフルトリン
5.5 プロフルトリン
5.6 モンフルオロトリン
5.7 α-ピロン化合物
5.8 おわりに
第3章 低分子機能性材料
1 フッ素化ジエーテル化合物の物性および電気化学特性
1.1 はじめに
1.2 物理的,化学的および電気化学的性質
1.3 リチウム二次電池への応用
2 フッ素系発光材料
2.1 はじめに
2.2 フッ素系蛍光材料
2.2.1 希薄溶液で利用できる含フッ素蛍光分子
2.2.2 固体状態で発光可能な含フッ素蛍光分子
2.2.3 液晶状態で発光可能な含フッ素蛍光分子
2.3 フッ素系りん光材料
2.3.1 含フッ素配位子をもつイリジウム錯体
2.3.2 含フッ素りん光発光性金錯体
2.3.3 ハロゲン結合型りん光発光共結晶
2.4 おわりに
3 有機電界効果トランジスターを指向した含フッ素有機半導体材料の設計と評価
3.1 はじめに
3.2 BPEPEの合成とキャリア輸送能評価
3.3 FPEの合成とキャリア輸送能評価
3.4 おわりに
4 フッ素置換基を活用した機能性色素の設計とその特性
4.1 はじめに
4.2 モノメチンシアニン色素へのフッ素置換基の導入効果
4.3 フッ素置換基を有するモノ,トリ,およびペンタメチンシアニン色素
4.4 ヘプタメチンシアニン色素へのフッ素置換基導入の効果
4.5 おわりに
5 地球環境型フッ素系溶剤“ゼオローラH”
5.1 はじめに
5.2 洗浄剤の動向
5.3 フッ素系洗浄剤の種類と基本物性比較
5.4 ゼオローラHとは
5.4.1 毒性データ
5.4.2 ゼオローラHシリーズの基本物性
5.4.3 ゼオローラHTAによる洗浄システム
5.4.4 ゼオローラHTAの溶解性・洗浄性
5.4.5 ランニングコスト低減
5.5 おわりに
第4章 高分子機能性材料
1 常温型フッ素系コーティング剤による電子部品・実装基板の防湿性・防水性付与
1.1 はじめに
1.2 概要
1.3 皮膜特性面での優位点
1.4 使用上のメリット
1.4.1 皮膜不燃性
1.4.2 コーティング液非引火性
1.4.3 高信頼性
1.5 使用例
1.5.1 防湿・イオンマイグレーション防止・リーク防止
1.5.2 リチウムイオン電池電解液対策
1.5.3 LEDの劣化防止(硫化防止性)
1.6 今後の方向性と環境への配慮
2 塗料用水性フッ素樹脂の耐候性と水性架橋技術
2.1 はじめに
2.2 有機溶剤と環境問題
2.3 フッ素樹脂の水性化
2.4 水性塗料用フッ素樹脂
2.4.1 エマルションタイプ
2.4.2 水性架橋システム
2.5 終わりに
3 自動車向け高機能フッ素ゴム
3.1 序章
3.2 フッ素ゴムの種類と特徴
3.2.1 フッ素ゴムの特徴とASTM分類
3.3 自動車の地球環境問題への取り組み
3.4 自動車向けフッ素ゴムに求められる機能と開発動向
3.4.1 排気系
3.4.2 燃料系
3.4.3 動力系
3.4.4 冷却系
3.5 おわりに
4 フッ素電解質材料の固体高分子形燃料電池触媒層への応用
4.1 はじめに
4.2 固体高分子形燃料電池の触媒層
4.3 触媒層アイオノマー
4.3.1 触媒層アイオノマーのプロトン伝導性
4.3.2 触媒層アイオノマーのガス透過性
4.3.3 触媒層アイオノマーの白金触媒表面への吸着による触媒被毒
4.4 まとめ
5 固体高分子型燃料電池用フッ素系電解質膜の高機能化
5.1 はじめに
5.2 固体高分子型燃料電池(PEFC)
5.3 電解質膜の特徴と機能発現因子
5.4 高性能,高耐久電解質膜の開発
5.5 最後に
6 接着性フッ素樹脂及びその応用
6.1 緒言
6.2 フッ素樹脂の特性,市場及び用途
6.3 接着性フッ素系高分子材料の紹介及び複合化
6.3.1 接着性フッ素樹脂とは
6.3.2 接着性フッ素樹脂を用いた複合化
6.4 自動車におけるフッ素樹脂系高分子材料の用途
6.5 燃料系の防止材料,長期耐久部材としてのフッ素樹脂
6.5.1 燃料チューブの動向
6.5.2 フッ素樹脂の燃料バリア機構
6.5.3 成形性に優れた接着性ETFEの開発と燃料ホースシステム
6.6 接着性フッ素樹脂の新たな展開
6.7 フッ素技術によるポリアミド樹脂の改質について